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ミオ: -
千里: +
ジュディ: ++
マーヤ: --
クルル: --

 朋也は昨日の闘いを思い起こした。一矢も報いることなく捻じ伏せられた屈辱の記憶。ジュディの言うとおり、中途半端に楽に勝つ手段を考えるより、この3日間をトラに一歩でも近づくために注ぎ込むべきかもしれない。
 ただ、それは勝つためではなかった。昨日も同じだったが、彼に判ってもらうため、だ。ジュディの言の死に物狂いではないが、全力でぶつかることでしか、今の彼に気持ちを伝えることはできない気がした。
「特訓、だろうな」
「ふぇ~~」
 マーヤとクルルが同時に不満の声を上げる。
「マーヤ、クルル、君たちはいいよ。ミオも。闘うのは俺とジュディだ。君たちは俺たちをバックアップする体制を整えておいて欲しい」
 そして、ジュディのほうを振り向く。彼女はわかってるとばかりにうなずいた。言われなくても、ジュディは死力を尽くすだろう。誰よりも千里を愛しているのは、必要としているのは、彼女なのだから。そして、彼女が自分のすべてを賭して闘う以上は、朋也も手を抜くわけにはいかない。
「無駄だと思うけどね。あたいはあいつをよく知ってるんだよ、あんたたちよりずっとね……。根性とか、努力とか、そういうレベルの話じゃニャイんだよ!? あいつに追い着くってことは!」
 ミオはただ1人頑強に首を縦に振らなかった。自分が付き合わなくていいと言われても納得がいかないらしい。
「俺も、たった3日で彼の実力に追い着けるなんて思ってないよ。でも、千里は返してもらわなくちゃならない。そうだろ?」
「もう……勝手にすれば!?」
 彼女は癇癪を起こして立ち上がり、部屋を出て行こうとした。ドアの向こうに消える前に朋也とジュディを振り返る。
「2人ともいいこと? 特訓てのはスキルを上げるためにやるもので、ただ身体を傷めつけりゃいいってもんじゃニャイんだからね!?」
「ああ、そうだな……気をつけるよ。ありがとう、ミオ。心配してくれて」
「別に心配ニャンかしてニャイわよ! あんたたちが主戦力ニャンだから、使い物にニャらニャくニャッたら元も子もニャイでしょ!?」
 そう言ってドアを手荒く閉める。素直じゃないんだから……。でも、そこがあいつのかわいいとこだけどな。
 朋也とジュディはクルルを通じて村長夫人にお願いし、村の小さな公民館を貸し切ってもらった。3日間、2人で模擬戦をしたり、村の外や地下でモンスター相手の実戦をして明け暮れる。その間に、マーヤとクルルは当日必要な食料や医療品などをかき集めた。ミオは仲間たちには何も告げず、1人で行方をくらましていた……。
 屋内ではお互いに相手を敵に見立てて剣を交えた。が、やっぱりジュディを相手に本気を出すのは心理的な抵抗が大きかった。何せジュディは女の子だし、千里の大切な家族だし、朋也自身にとっても──
 ううん……俺にとってのジュディって何だろうな? これまで朋也にとってのジュディは、常に千里と一緒にいる存在であり、彼女を間に挟んだ関係しかなかった。当然ながら、彼女は〝イヌ〟で〝イヌ族の女の子〟という意識もなかった。
 その千里が不在の環境で、いま彼女を媒体としない2人の絆が芽生えつつあった。朋也自身何となく不条理なものを感じて、それ以上深く考えようとはしなかったけれど……。
 結局、朋也は専ら敵、すなわちトラ役を演じることにした。2人で闘うといっても、どちらが主戦力になるかといえば、やはりジュディだった。朋也のほうが一応体格も大きかったし、イヌ族のスキルオンリーのジュディと違い、彼はネコ族のスキルも併せ持っていたということもある。
 そこで、ミオに借りた爪を装着してジュディの相手をしてやった。自分がトラの立場になってみるというのは、たとえ彼の動きをそっくりトレースできなくても、戦術を練る上でも思いのほか参考になった。
 3日目の昼頃、午前の訓練を終えて軽く食事をとっていた朋也たちのもとに、クルルが駆け込んできた。彼女は午前中、ルネ湖の真ん中にある島に薬草とハーブ(明日持っていくビスケットの材料に使うつもりらしい)を採りに行っていたが、モンスターが出現したので結局あきらめたという。
「それが、すっごい気持ち悪いやつなんだよ~」
「そっか。薬草が手に入らないんじゃ村のみんなも困るよね。よし、ボクが島に行って退治してきてやるよ! ねえ、いいでしょ、朋也? この2日間の成果を試してみたいんだ!」


*選択肢    一緒に行く    がんばれ!

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