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ミオ: --
ジュディ: -
マーヤ: --
クルル: -
フィル: +

 朋也たち一行はいま、クレメインの森の入口に来ていた。なぜ彼らがエデンに降り立った出発点まで戻ってきたかというと──
 ミオに4人のメンバーの提案の中からどれかを選ぶよう言われたとき、不意に彼は一つのアイディアを閃いた──というより、あるものを思い出したというのが正確だったが。それは、フィルに手渡された神樹のフルートのことだった。彼女には危急の際に使うようにと言われたが、今こそまさにその時ではないか?
 あいにく、広大なステップ地帯の続くユフラファ周辺は木立が疎らで森と呼べる場所がなかった。仕方なく、5人はクレメインの森まで引き返したのだ。正直、他の森の精に信頼を得るため一から事情を説明するより、彼女自身に相談した方が手っ取り早いと考えたこともあった。
 それからすぐにユフラファ村を後にしたものの、クレメインまでは脇目も振らずに真っすぐ目指しても1日で辿り着くのはしんどい道のりだ。事情を知らないクルル以外はみんなムスッとして、道中朋也とろくに口もきかなかった。とりわけ、ミオは選択権を彼に委ねたことを激しく後悔し、愚痴ばっかりこぼしていた。
 みな殺気立っていたため、襲ってくるモンスターもたちまち蹴散らしていった。おかげで戦闘訓練にはなったかもしれない……。一行が目的地に到着した頃には、日はとっぷり暮れていた。
 真っ暗な森の中でフルートを取り出すと、口に当てる。もの欲しいそうに手元をじっと見ているクルルの視線がちょっと気になった……。こんな時間に呼び出すのも気が引けたが、明日にしようなんて言い出したら、ミオたちに何されるかわかんないからな。
 貧弱なフルートの音が森の中に吸い込まれていく。と、緑色のきらめきに包まれて樹の精フィルが登場した。彼女の柔和な笑顔は一種の清涼剤のようで、朋也はこれまでの事件で塞いでいた心を洗われた気がした。
「朋也さん、皆さん、こちらにはどうして? 千里さんの姿がまだ見えませんが……何かお困りのことでもあったのですか?」


*選択肢    助言が欲しい    顔が見たくて・・

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