新たに出現した道に沿って歩いていくと、再び周囲の木立に変化が見られるようになる。どうやら森のかなり深部に入り込んだようだ。木々の構成はややクレメインのそれに近づいていた。
突然、4人の目の前にぽっかりと空間が開けた。色とりどりの花々に囲まれた幻想的な泉だ。泉には橋がかかり、中央の島に渡れるようになっていた。島の上には何か石のようなものが整然と並んでいた。よく見ると、それはお墓だった。
朋也たちは緊張しながら橋を渡っていった。エデンに来て墓地を目にするのは初めてだ。墓の数は疎らでそれほど多くはない。どれも、ペット霊園にあるような小さなサイズだ。前駆形態の亡くなった子用、というわけでもないだろうし。というより、そのサイズはもしかして──
一番手前に、やけに真新しい墓石が目に付いた。彼は嫌な予感を覚えながら、1歩ずつその墓に近づいていった。誰かが供えたばかりらしい花とともに、何かが添えられている。朋也の見覚えのあるものだった。
その墓のそばに駆け寄り、手に取ってみる。
「こ、これは……マーヤが持っていた手鏡!?」
何度か見せてもらったオーラを映し出す彼女のコンパクトにそっくりだった。よく見ると鏡面が割れている。
マーヤとはつい昨日別れたばかりだ。だが、この墓もまるで昨日今日建てたかのように新しい。まさか……いや、そんなバカな!?
「う、嘘だよね? もし……もし、私が彼女に辛く当たった所為だったりしたら……」
千里が愕然として両手で口を覆いながら、オロオロとうろたえる。
「フミュフミュ、その可能性は十分あるニャ~♪」
ミオがニヤニヤしながら、さらに彼女を追い込むようなことを言う……。
「どうしよう、朋也!?」