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千里: ++

 千里の前で俺に恥を掻かせようってのか!? 朋也は激昂のあまり彼女の手を払い除けて怒鳴った。
「ふざけるなっ!! こっちはあんたが哀れな女だと思ったから同情してやったんだ! でも、いい加減愛想が尽きたよ! あんたみたいな身勝手な女にはこれっぽっちも興味はない! とっとと千里を解放しろっ!!」
「そうだそうだ! 興味なんてないぞ!」
 ジュディもフォロー(?)する……。
「あんたには聞いてニャイわよ」
 ミオもフォロー(・・)する……。
 イヴの顔に一瞬悲痛な表情が浮かび、すぐに激しい憎悪の目つきに変わった。
「私より、この小娘の方がいいっていうの? そうなのね……あなたもあの男と同じなのね……私をだまして……私を裏切って……そして、捨てるのね……。許さない……許さないわっ!!」
 どうしたらそんな被害妄想持てるんだ?? 典型的なヒス女だな……。だが、強力な魔法使いのヒステリーほど恐ろしいものはなかった。イヴは氷のような冷たい視線を身動きもできずにいる千里に向けると、黒いいかずちの矢を手から放った。
「きゃあああっ!!」
 毒々しい煙霧のようなものが千里の身体にまとわりつき、顔が苦痛に歪む。続いて、イヴは彼女から魔力を吸収するための戒めを解いた。
「これでもう、この娘の身体は私の意のまま……。解放して欲しかったら──」
 朋也に顔を戻し、残忍な笑みを浮かべる。
「この子を倒すことね……」
 な……なんだと!? 続いて彼女は、〝ゲーム〟の説明に入った。
「あなたたち2人の愛が、私の憎しみより深ければ、この娘は助かる。もし、私の憎しみに勝てなければ、その時は──この子は死ぬわ……」
 あまりに卑劣なやり口に、朋也は怒りの余り声を出すこともできなかった。
「どう、試してみる? あなたにその勇気があって? まあ、所詮あなたたちの愛なんておままごとにすぎないのだから、170年募り募った私の怨み、私の憎しみにかなうはずもないけれど……」
 そう言って、手を口元に持っていき高笑いする。


*選択肢    いいだろう    そんな真似できるか!

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