誰かの所為にしたい気持ちは理解できるが、ミオに当たるのは筋違いだ。朋也はなんとかジュディにわかってもらおうと訴えた。
「なあ、ジュディ……千里のことは本当に悲しいけど、これは事故なんだ。誰の所為でもない。だから、ミオを責めないでくれよ?」
だが、ジュディは彼の話に耳を貸そうとはしなかった。憎しみのこもった彼女の視線は、今度はミオから朋也へと向けられた。
「嘘だ……全部朋也、お前のせいなんだ……お前がご主人サマをこんなとこへ連れてきたから……お前さえいなけりゃ、お前にさえ逢わなけりゃ、ご主人サマは死なずに済んだのに……お前さえ、いなけりゃ!!」
アニムスから流れ込んだ紅と碧の光に加え、鮮烈な黄色の光が彼女の全身から炎のように激しく燃え上がる。イヌ族のオーラの色だ。霊力の低い朋也の目でさえ、いまでは肉眼ではっきりと捉えることができた。
ジュディはゆっくり剣を抜くと、こちらに向かって1歩踏み出した。
「あわわわぁ~~!」
「いけない……このままではアニムスもジュディさんの身体ももちませんわ!」
フィルが焦燥の色を浮かべて指摘する。
「そんニャこと言ったってどうすんのよォ!? あいつ聞く耳ニャンて持たニャイわよ!?」
「ジュディ、お願いだよ! ビスケットあげるから機嫌治して」
「そんニャもんで治るわけニャイでしょ!」
「ジュディ! 頼むから、落ち着いてくれ!!」
朋也は戦意がないことを示すように両手を挙げて訴えた。だが、ミオの言ったとおり、彼女はこちらの話にまったく耳を貸そうとはしない。
「ボクが……ボクがご主人サマの仇を討ってやるっ! 覚悟しろ、朋也っ!!」
「駄目よぉ、手に負えないわぁ~」
仕方ない──
*選択肢 気の済むまでやらせる 頭を冷やしてやる