朋也は暗い水中を漂っていた。何も見えない。何も聞こえない。何も感じない。水温が熱いのか冷たいのかもわからない。瞼を開いてもぼんやりとした闇が目に映るだけだ。まるで羊水の中にでも浮かんでいるような印象だった。
一体どうなったんだろう? クルルやマーヤたちはどうしたのか……そして、ニーナは!?
悔恨の情が胸にどっと押し寄せてくる。何てことだ……俺はニーナと戦い、この手で彼女を倒してしまったんだ……。
サファイアを手に入れるための試験は、結局落ちてしまったんだろうか? もう俺には世界を、千里たちを、救うことはできないのか?
こんなとこに来るんじゃなかった……。悪い夢であってくれ……そうだ、これは夢なんだ! あんなごっついオッサンみたいなクジラが、ニーナに変身したりするはずないもんな。きっとそうに違いない──
〝夢ではない!!〟
〝夢じゃないわ!!〟
ニーナ!? いや、レヴィアタン? 戸惑っている朋也に、彼女/彼は続けた。
〝お主は見事試練を乗り越えた〟
〝テストは合格よ……おめでとう♪〟
そうか……資格試験はもう終わったんだ。俺は受かることができたんだ。よかった……。朋也はホッと胸をなで下ろした。何より、彼女が無事だったことに。
〝これでもうサファイアの力はお主のものだ〟
〝お主はその力を用いて世界を救うことができる……〟
〝だが、そのためにお主は代償を支払わねばならぬ……〟
〝あなたはとうとうサファイアの力を得たの〟
〝あなたはその力を使って大切な人を護ることができる……〟
〝でも、そのためにあなたは代償を支払わなくてはならないわ……〟
そうだ、手放しで喜ぶわけにはいかなかったんだ。一体どんな代償を? 彼/彼女の深刻そうな声を聞いて少し不安になる。彼/彼女が告げた。
〝次の2つのいずれかを選ぶがよい〟
〝次の2つのどちらかを選んで〟