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マーヤ: --

 最初に登場したときのオドオドした様子などどこにも感じられない。順応性が高いというのか……。これまでの経緯からして、ここが地球によく似たどこか別の惑星に違いないと考えた朋也は、とりあえず思ったとおりに回答する。
「宇宙人?」
「はぁ~?? 宇宙人ったら、そういうあなただって宇宙人じゃないのぉー」
 ちょっと臍を曲げたようだ。まあ確かに宇宙人てのは、地球人の視点で十派一からげにする変な呼び方ではある。エデンというのがこの星の名前だとすれば(確かそんなSFもあった気がする)、エデン人というのが正解だったか。彼女の答えも屁理屈の気がしなくもなかったけど。
「もっとハイセンスな発想ができないものかしらぁ~? ニンゲンって想像力までそんなに貧相なのぉ~?」
 どうやら朋也は地球人"代表"失格の烙印を押されたらしい。
「じゃあ、一体なんて呼べばいいわけ?」
 半ばヤケクソ気味に聞き返す。
「素直に妖精と呼んでちょうだぁ~い♪」
「妖精だなんて冗談は──」
 そこで千里があからさまに白い目でじろりとにらんだ。はい、わかりました、やめときます……。
「えぇ? なになにぃ~?? 言いなさいよぉー、気になるじゃないのぉ~~」
 しきりにせがまれて閉口した朋也は千里に救いを求めて視線を投げたが、彼女はそっぽを向いて指で耳に栓をするジェスチュアで応じた。しょうがない。
「冗談は、よぉせぇ・・・・」
 口にするのが悲しくなるほどオヤジが入っていたが、マーヤは聞いた途端に腹を抱えて宙を転げまわった。こんなに過剰反応するとは思わなんだ。ファースト・コンタクトで駄洒落が大ウケするなんて話、星○一のショートショートにもないんじゃないか?
「はひはひぃ~、苦しぃ~、腸がよじれるぅ~」
 寒いギャグを大げさにおかしがるマーヤに、千里は目をぱちくりさせている。ジュディまであきれてるみたいだ。
 しばらくしてやっと落ち着いたのか、涙を拭きながら真面目な顔に戻ってマーヤは言った。
「ニンゲンってこんなに面白い種族だとは思わなかったよぉ~。さっきの貧相ってのは訂正してあげるわぁ~(^^;; あたしぃ、本物のニンゲンにお目にかかるのは初めてなもんだからぁ。いろいろ、そのぉ、聞かされてたしぃ……」
 伏目がちに言った彼女の最後のほうの顔はなぜか悲しそうに見えた。
「あたしたち妖精はねぇ、神獣様に仕えてこのエデンを管理する役目を担ってるのぉ~」
「神獣? エデン??」
 意味不明の単語をそのままオウム返しする。
「そっかぁ~。アニムスの封印が解かれて以来、エデンに足を踏み入れたニンゲンはいないんだものぉ、知るわけないよねぇ~」
 マーヤが自分の頬を軽くはたきながら弁解気味に言った。新たな意味不明語がリストに追加される。
「さてとぉ、自己紹介も終わったとこで本題に入りましょうかぁ~。あなたたち一体どうやってゲートを見つけたのぉ~? まあ、ジュディに案内してもらったんだろうけどさぁ。このゲートはねぇ、動物たちのモノスフィアから脱出口で、当のニンゲンがこっちの世界にやってくるなんて想定外だったんだよねぇ。まあ、ニンゲンも動物だから通ろうと思えば通れるんだけどぉ。まさか、あなたたちも向こうから避難してきたってわけじゃないんだよねぇ~??」
 2人して顔を見合わせる。マーヤの言ってることは未だによく飲み込めない。どうしてここにいるのかって? そりゃ、こっちが訊きたいくらいだよ。口を開こうとしたところで、マーヤが設問を変える。
「うぅ~ん、やっぱり答えにくいかなぁ~。じゃあ、そっちの方で訊きたいことがあったら言ってくれるぅ~? 1つずつお願いねぇー」
「あんたが先でいいわよ」と千里。
 じゃあ、まず1つ目に訊くことといえば──


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