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ミオ: +
千里: -
マーヤ: -

 最初に登場したときのオドオドした様子などどこにも感じられない。順応性が高いというのか……。何に見えるか、だって? 彼女のその目立つ羽から連想するものといえば相場が決まってるよなぁ。
「大きな蛾」
「……」
 マーヤはしばし口をあんぐり開けて目を瞬かせた。
「蛾は喋んないと思うわよ。せめてチョウチョと言ってあげたら?」と千里。
 それはガさんに対する差別だと思うんですけど。
 マーヤはやっと脱力気味に口を開いた。
「はあ、あたしの羽に着目したのねぇ~。それはそれでストレートな発想かもしれないけどぉ~。素直に妖精と言って欲しいわぁ~」
「妖精だなんて冗談は──」
 そこで千里があからさまに白い目でじろりとにらんだ。はい、わかりました、やめときます……。
「えぇ? なになにぃ~?? 言いなさいよぉー、気になるじゃないのぉ~~」
 しきりにせがまれて閉口した朋也は千里に救いを求めて視線を投げたが、彼女はそっぽを向いて指で耳に栓をするジェスチュアで応じた。しょうがない。
「冗談は、よぉせぇ・・・・」
 口にするのが悲しくなるほどオヤジが入っていたが、マーヤは聞いた途端に腹を抱えて宙を転げまわった。こんなに過剰反応するとは思わなんだ。今日までジョークってものを聞いたことがなかったのかしらん?
「はひはひぃ~、苦しぃ~、腸がよじれるぅ~」
 寒いギャグを大げさにおかしがるマーヤに、千里は目をぱちくりさせている。ジュディまであきれてるみたいだ。
 しばらくしてやっと落ち着いたのか、涙を拭きながら真面目な顔に戻ってマーヤは言った。
「ニンゲンってこんなに面白い種族だとは思わなかったよぉ~。あたしぃ、本物のニンゲンにお目にかかるのは初めてなもんだからぁ。いろいろ、そのぉ、聞かされてたしぃ……」
 伏目がちに言った彼女の最後のほうの顔はなぜか悲しそうに見えた。
「あたしたち妖精はねぇ、神獣様に仕えてこのエデンを管理する役目を担ってるのぉ~」
「神獣? エデン??」
 意味不明の単語をそのままオウム返しする。
「そっかぁ~。アニムスの封印が解かれて以来、エデンに足を踏み入れたニンゲンはいないんだものぉ、知るわけないよねぇ~」
 マーヤが自分の頬を軽くはたきながら弁解気味に言った。新たな意味不明語がリストに追加される。
「さてとぉ、自己紹介も終わったとこで本題に入りましょうかぁ~。あなたたち一体どうやってゲートを見つけたのぉ~? まあ、ジュディに案内してもらったんだろうけどさぁ。このゲートはねぇ、動物たちのモノスフィアから脱出口で、当のニンゲンがこっちの世界にやってくるなんて想定外だったんだよねぇ。まあ、ニンゲンも動物だから通ろうと思えば通れるんだけどぉ。まさか、あなたたちも向こうから避難してきたってわけじゃないんだよねぇ~??」
 2人して顔を見合わせる。マーヤの言ってることは未だによく飲み込めない。どうしてここにいるのかって? そりゃ、こっちが訊きたいくらいだよ。口を開こうとしたところで、マーヤが設問を変える。
「うぅ~ん、やっぱり答えにくいかなぁ~。じゃあ、そっちの方で訊きたいことがあったら言ってくれるぅ~? 1つずつお願いねぇー」
「あんたが先でいいわよ」と千里。
 じゃあ、まず1つ目に訊くことといえば──


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