警察犬、盲導犬、麻薬探知犬、災害救助犬……一口に働くイヌといってもいろいろいるけど、世間にその活躍がほとんど知られてないイヌもいる。その名は〝霊界救助犬〟──。
キムの姿はふつうの人には見えない。もうこの世のイヌではないから……。彼の姿が見えるのは、パートナーである俺・犬伏迅人一五歳と、ドッグ・トレーナーをしている俺の母さん、仕事の相方を務める猫咲遼子先輩、そして行きつけのドッグ・カフェ〝パトラッシュ〟のマスターくらいだ。
その日、遼子さんの呼び出しを受け、急行したのは近くの里見第三小学校。依頼人の先生によれば、飼育舎の跡地で幽霊が出ると生徒が騒いで困っているとのこと。実はここで、ウサギが虐殺される事件が起きていた。
除霊には成功したものの、霊は逃亡。だが、キムは自慢の鼻で霊の臭いを嗅ぎつける。どんな悪霊も逃がしやしない。ネットを通じてはびこる〝ニュータイプ〟を除いては。
後日、退治したはずの霊が復活したと依頼人がカンカン。こどもたちに確かめようとしたが、体よく追い払われてしまった。
ここで引き下がっては除霊率百%の看板が泣く。キムの能力〝レスキュー〟と〝セラピー〟、遼子さんの愛猫ジョルジュの能力〝渡し守〟や〝ハーメルン〟を駆使し、謎に迫る。実は学校に現れた霊は、退治したのとは別の人間の女の子の霊であったことが判明。そして、彼女を殺した意外な犯人は──。
真犯人を追い詰めた俺たちの前に立ちふさがったのは、凶暴な霊犬アラスカン・マラミュートの白虎。キム、絶体絶命のピンチ!
そのとき、遼子さんが懐から何かを取り出した。あれは、行方不明になっていたキムお気に入りのフリスビー!? 彼女はそれを俺に向かって思いっきり投げつけ、こう叫んだ。
「Let's confine!!」